CostBox-DR Series からの提案書
市場価格×電力量の回帰分析による日判定型DR分析ソフトの社会的意義をご提案いたします。電力市場の自由化以降、需要家による自律的な需給調整行動が強く求められています。
電力市場の現状と課題
従来の下げDR
需給逼迫時に需要を削減する制度でしたが、直近2年間において市場価格が50円/kWhを超える局面はほとんど存在せず、実効性を欠いています。
上げDRの機会
再生可能エネルギーの大量導入に伴い、市場価格が0.01円/kWhに低下する「上げDR」の機会が頻発しています。
制度的背景と法的根拠
01
省エネルギー法
事業者に対し、計測に基づいた運用改善の努力義務を課し、エネルギー使用の実績データに基づく合理化を重視しています。
02
容量拠出金制度
2024年度以降導入され、安定供給責任を全小売事業者に課し、需要家側の負荷応答の可視化・定量化が求められています。
03
電力データ活用の制度化
法改正により、需要家の電力使用データを適切に収集・活用する仕組みが制度化され、制度的に認められた合理化手段となりました。
本ソフトの分析手法
分析の核心
市場価格(円/kWh)と電力量(kWh)だけを対象とした回帰分析を実行します。回帰式に基づき、実測点の分布を「期待される相関」からの乖離として評価し、残差の大小に応じて「適正日」/「要改善日」を自動判定します。
  • 透明性:誰でも同じデータで再現可能
  • 即時性:市場価格は前日に確定済み
  • 制度整合性:法改正により公式認定
従来手法との比較
従来の多変量分析
気象や需要予測を多変量で組み込む複雑な手法でした。
本ソフトの二変量分析
市場価格と電力量という最も本質的かつ公開性の高いデータに限定した透明な分析です。
上げDRの体感効果
価格低下の認識
市場価格が0.01円に低下した時間帯を認識します。
使用量増加
安い時間帯に使用量を増加させます。
適正判定
システムが「適正日」として判定します。
学習効果
「安いときに使う=適正日」という直感的な学習を得ます。
制度適合性の詳細
省エネ法との整合
「実績に基づく合理化努力」と完全に整合し、継続的な運用改善を支援します。電力使用の実績データに基づく合理化が重視される現在の法制度に適合しています。
容量拠出金制度への対応
需給調整効果の定量化に直接利用でき、制度下で必要な報告業務を効率化します。安定供給責任の履行を数値で証明できます。
電力データ活用制度
法改正により制度化された電力データ活用の枠組みに完全準拠し、公的に裏付けられた改善ツールとして機能します。
社会的意義と効果
0.01
円/kWh
再エネ余剰時の最低市場価格水準で上げDRの機会を創出
50
円/kWh
従来の下げDR発動基準価格(直近2年間ほぼ未発生)
2024
年度
容量拠出金制度導入により需要家負担が本格化
本ソフトは従来の「節電中心」のDR観を刷新し、「賢く使う」への認識転換を促します。再エネ余剰を活かす社会的資産としての意義を持ちます。
導入による変革効果
1
現状認識
需要家の認識は「DR=節電」に偏っており、上げDRの理解が不十分です。
2
意識変革
「安い時間に使う=上げDR」という新しい理解を促進します。
3
行動変化
日々の電力使用パターンを市場価格に連動させる習慣が定着します。
4
社会貢献
再エネ余剰の有効活用により、持続可能な電力システムに貢献します。
結論:新時代のDR分析ツール
市場と電力の"実態"を鏡に映し、法制度と現場をつなぐ分析。
本ソフトは市場価格と電力量のみの回帰分析により、各日の需給適合度を「適正日/要改善日」として判定します。予測ではなく実態を見える化する仕組みであり、省エネ法・容量拠出金制度・電力データ活用制度の趣旨に完全整合します。
特に「上げDR」の頻発を体感的に理解させる効果があり、需要家に新しい行動習慣を根付かせます。従来の「節電中心」のDR観を刷新し、再エネ余剰を活かす社会的資産としての意義を持つ革新的なソリューションです。